イタリアの新酒 Novelloノヴェッロ 11月6日解禁!

いつもアルポルトカフェ日本橋高島屋店をご愛顧下さいまして、誠に有難うございます。

さて、今年もはや11月ということで、やって参りました。新酒ノヴェッロです。

ノヴェッロというのは、要するにイタリア版ヌーヴォーみたいなもので、製法も同じなので味わいも似ています。

しかし、フランスのヌーヴォーはブルゴーニュ地方のボージョレー地区でガメイという葡萄品種で作られていますが、イタリアでは全20州でいろいろな葡萄品種で作られています。

またヌーヴォーは毎年11月の第3木曜日に解禁ですが、より温暖なイタリアでは毎年11月6日(つまり10月一杯蔵元においておけばOK)ということになっています。

そもそもどうしてボージョレー・ヌーヴォーもそうですけれども、新酒には解禁日というものがあるのかと言うと、この新酒というものが登場したころ、販売競争が激化して、どんどん出荷が早まっていったそうです。

ところが、出荷が早まるということは、ただでさえ短期間で製造されているこのジャンルが、さらに期間を縮めるということになり、品質低下は避けられず、もはや飲めないようなものまで市場に出回って、ボージョレー・ヌーヴォーの評判は急激に落ちてしまったそうです。

事態を重く見た生産者組合や政府関係者は、新酒の解禁日を定めることで、無意味な出荷競争に終止符をうち、ある程度安定した品質を確保することを法的に定めたというわけです。

ところで、この新酒というものは、最近は落ち着いてきたものの世界で最も消費されているのが日本であり、普段はワインを飲まない人々でもヌーヴォーは飲むため、コンビニでも、スーパーでも、ディスカウントショップでも、大々的に予約販売なども受け付けているという状態です。

これは日本人特有の嗜好と考えられており、同じようなものにベートーヴェンの第九交響曲があります。この曲も普段はクラシックやベートーヴェンなど聴かない人が、年末になると聴くようになるので、12月には日本中のオーケストラ、合唱団、コンサートホールが第九しか演奏しなくなります。

そのように考えると、既に日本人にとってはヌーヴォーと第九は一年を締めくくるための一連の儀式として定着していると言えるでしょう。

かくいう私も、毎年新酒によって一年の働きをふりかえり、占っています。

新酒を飲むと本当にいろいろと考えさせられます。

まず第一に、ワインの出来不出来というものは生産者の努力だけでなく、自然の運びに大きく支配されていること。しかし、自然の運びだけではよいワインはできません。生産者が努力してもダメな年に素晴らしいワインは生まれませんが、よい年でも生産者が一生懸命葡萄の世話をしなければ、やはりよい葡萄はできず、優れたワインもできません。

それは私たちの仕事や生活にも似ていて、どれだけ一生懸命働き暮らしても、世の中の景気とか政情とかがよくなかったりすれば、安定した暮らしや事業の成功をみることは難しいでしょう。しかし、景気や政情がよくてもそれに甘んじて、私たちが怠けていれば、結局は同じことになります。それと全く同じです。

また第二に、これはワイン愛好家にとって大切なことですが、上記のような出来不出来の原則を鑑みれば、出来のよいワインであれ出来のよくないワインであれ、生産者の労力というのは然程変わらない、というよりも寧ろ、思わしくない気候の運びが続くほど、つまりよくない年ほど生産者は苦労しているという事が言え、出来が悪いからといって私たちがワインを買い控えなどしてしまうと、生産者は資金を回収できず、翌年以降の生産に支障が出、これまでの苦労をねぎらうため天が折角よい気候を巡らしてくれても、よいワインを生み出すことができなくなってしまいます。

ですから、私は美味しかろうが美味しくなかろうが、新酒や好きなワイナリーのワインは毎年買って飲むし、皆様にも飲んでいただきたいと思っています。特に新酒は、お酒の中でもおそらく最も保存力がなく(賞味期限が必要!)、しかも季節性の商品ですので、売れ残ればほとんどが廃棄される運命にあります。ほかのワインは売れ残っても少なくとも2〜3年は大丈夫ですので、供給側で需給調整ができますが、新酒だけはそうはいきません。

そもそも新酒は、日本で最も宣伝されているワインであるにも関わらず、もしくは最もメーカーや輸入業者に利潤を与えてくれるワインであるにも関わらず、スーパーやコンビニで販売されるものなどにおいては、コンテナーから出てしまえばワインセラーはもちろん、冷蔵庫にもいれてもらえず、缶詰のように積み上げられて売りに出されています。

そんなことではいつか罰が当たるというものです。

さて、本題の宣伝ですが、今年アルポルトカフェが自信を持ってご提供する新酒は温暖なイタリアの中でも特に暖かく、実はイタリア最大のワイン産地であるシチリア島から、ネロ・ダーヴォラというシチリア固有の土着品種のノヴェッロをご用意しています。

イタリアは土着品種が各地にあるのですが、このシチリアのネロ・ダーヴォラというブドウ品種から造られるワインは、ピエモンテネッビオーロトスカーナのブルネッロなどのものにはもちろん及びませんが、一般の方からの人気は比肩しうるほどだと思います。

というよりもむしろ、値段も手ごろで、セクシーな香りがし、適度に渋みがありながらも飲みやすいと3拍子揃っていることから、このブドウ品種のワインをまずいという方はまずいないでしょう。

ちなみに、イタリアの今年の葡萄の出来は、まあまあだそうです。このまあまあというのは、大事なところで、ヌーヴォーなどでは3年に一度は「10年に一度の出来」と言われ、10年に一度は「100年に一度の出来」と宣伝されるのですが、そういう年のワインは大したことがないのが通例です。なぜかと言えば、本当にいいものは宣伝する必要がないからです。10年に一度とか100年に一度とか宣伝しなければならないのは、そう言わなければならない理由があるからなのです。

そういう私も2007年ヴィンテージのワインが入荷するときには、一度も飲んでいないのに「ゴージャス&セクシー、しかもアグレッシブ! 1000年に一度のヴィンテージ! ジェームス・ボンド級」とか吹聴したものです。実際はもちろん大したヴィンテージではありませんでした。

というよりも、芸能人でもスポーツ選手でもなんでも、デビューしたときに騒がれると駄目になります。本当によい役者やスポーツ選手は、いつデビューしたのかもわからないほど目立たなかったのに、いつのまにか頭角を現し、ついには圧倒的な存在感を持つようになるものです。ワインも同じです。

そのようなわけですから、まあまあといわれる今年のワインは、静かに期待してもよいのではないかと思われます。

長くなりましたが、そんな2010年ノヴェッロを、グラスでもボトルでもご提供いたしますので、ぜひいらしてください。

カンティーネ・ラッロ
ノヴェッロ・ネロ・ダーヴォラ
グラス ¥945  ボトル¥4725
※売り切れの際はご容赦ください。

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