イタリアワインの女王「バルバレスコ」


いつもアルポルトカフェ日本橋高島屋店をご愛顧下さいまして、まことにありがとう御座います。

さて、本日のワインは、イタリア3大ワインの一角「バルバレスコ」の最高傑作との呼び声高い、バルバレスコ生産者協同組合(プロデュットーリ・デル・バルバレスコ)のバルバレスコです。

そもそもバルバレスコというのは、北イタリア・ピエモンテ州のランゲ地区バルバレスコ村で、バローロ村のバローロと同じくネッビオーロというブドウ100%で作られます。

このバローロバルバレスコを生みだすネッビオーロというブドウは、非常に繊細で豊かな表現力があること、そして色も香りも華やかであることからブルゴーニュピノ・ノワールに似ているとされ、その価値体系もブルゴーニュのそれに準じています。

というのは、ブルゴーニュでは最も限られた小さな区画から生みだされたものが最上とされ、その最高峰はあのロマネ・コンティを筆頭とする「グラン・クリュ(特級畑)」です。

そしてその下に「プルミエ・クリュ(一級畑)」があり、その下に村名(ジュブレ・シャンベルタンとかヴォーヌ・ロマネとか)があり、さらにその下に小地域(コート・ド・ニュイとか)があり、最後は地方名ブルゴーニュになります。

バルバレスコバローロもそれと同じく、法規定では単一畑の格付けはありませんが、一般的には「ラバヤ」とか「サントステファーノ」などの畑名を冠したものの方が高く取引されています。

ところが、私の経験から言うと(全くあてにはできませんが・・・)、単一畑のネッビオーロというのは自己主張が強い上に、バランスを欠いていることが多く、正直に言えば、万人受けするものではもちろんないし、さらに言えば、飲み頃も非常に難しい代物です。

もちろんだから良くないということにはなりませんが、今回ご紹介するこの56人の生産者からなる(従って複数の畑のブドウがブレンドされている)このバルバレスコは、ネッビオーロにふさわしい生産方法を示しているような気がしてなりません。

このワインは非常に生き生きとしていて、華やかで、常に完璧なバランスがあります。広範囲に及ぶ畑から作られているにも関わらず、ワインは大変豊かで複雑なアロマあります。

ただ、単一畑や単独生産者のバルバレスコに比べると、このワインは出荷されてから1〜2年で飲み頃を向かえ、それからまた1〜2年ほどで枯れてしまいます。

でも、基本的にワインは毎年作られているのだから、そんな10年も20年も寿命がなくてもいいような気もしますし、飲み頃がわからない単一畑のバルバレスコに比べれば、ましでしょう。

また私たちにしても、いつドクターストップでお酒が飲めなくなってしまうか分からない身の上なのですから、何十年もワインの熟成を待つというのは大変な勇気と根気がいると思われます。

そのような訳ですので、このワインの早さというのは何ら欠点とはならないと思います。寧ろ、その早熟性や、夭逝はほとんど天才を思わせるものだといえないこともありません。

ネッビオーロのこの意外な性質について一番最初に気付いたのは、あの「帝王」アンジェロ・ガイヤでした。実は彼こそがバルバレスコバローロブルゴーニュのクリュ概念を持ち込んだのですが、それをある日突然翻して、つまり単一畑の彼のワイン、「コスタルッシ」や「ソリ・ティル・ディン」、「ソリ・サンロレンツォ」、「スペルス」をバルバレスコバローロより格下のランゲ地区DOCに落としたのです。

彼としては、自分のフラッグシップであり、偉大な村名であるバルバレスコバローロが、個人に属する畑名のワインよりも低く扱われていることが気に入らなかったようです。(しかしながら、相変わらず彼の単一畑のワインは、彼のバルバレスコの数倍の値段で取引されています)


(ガイヤのバルバレスコ。40年近く経過し、すでに液面も低く、酸化膜も漂っていますが、まだ生きています)

いずれにしても、レストランでワインを扱っていて、いつも感じるのは、高級なワインは確かに素晴らしいものを持っているけれども、飲み頃になるまで永いこと待たねばならず、飲み頃になっているものを仕入れると大変高額になってしまい、とてもお客様に楽しんでもらうことができないということ。

それを考えれば、仕入れてから半年とか1年くらいで飲み頃を向かえ、熟成の妙を発揮するこのワインは、大変有難く、お客様からも喜んでもらえています。これこそ、レストランで本当に必要なワインです。

またこのワインは、その品質が毎年安定していることも信頼に値します。やはりいろいろな環境にある畑から葡萄を得ていると、それだけ年度の差も然程大きく影響しないようです。もちろん、逆にずば抜けたものもあまりないようですが。

確かにこのワインには、高級なワイナリーのネッビオーロが誇る、充実感や厳粛さはありません。しかし、その清らかさや華やかさ、可憐さは、十分我々を幸せにしてくれます。

このワインは我々人間のように平凡で儚い。でもそれで十分ではないでしょうか?

そんなバルバレスコを、ただ今グラスでご提供しています。

この機会にぜひご賞味ください。

ボトル¥8400  グラス¥1260

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